今回はミステリー本の紹介です。
イギリスのミステリーの古風な雰囲気を漂わせる、
「木曜殺人クラブ」です。
人生について、しみじみ考えさせるミステリーでした。
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「木曜殺人クラブ」は読むべきか?
ミステリーファンの人なら読むべきだと思います。
年末恒例のミステリーランキングでも上位にランキングされています。
(このミス、8位。週刊文春、4位。)
引退した老人達が、定期的に集まって、
未解決の事件を話し合う。
そのあらすじを聞いただけで読みたくなってしまいました。
本書と著者について。
著者のリチャード・オスマン。
本書の経歴欄によると、
1970年イギリス生まれで、
BBCのバラエティー番組の、
プレゼンター、コメディアンとして活躍しているそう。
2020年に本書で小説家デビューして、
高い評価を得ているということです。
「木曜殺人クラブ」というタイトルは、
ミステリーファンならピンと来るらしい。
クリスティー原作の「火曜クラブ」。
ミス・マープルの連作短編で、
様々な職業の人間が集まって、
推理を競うという内容。
(クリスティーのファンながら、未読なので早速読んで見ようと思った)
タイトル同様内容もミス・マープルシリーズの雰囲気が漂う。
イギリス伝統(?)の、
老後にミステリーを味わい、楽しむ感じが、
作品全体をおおっていて、
どこか軽快な感じで読後感はいい。
本書のストーリー
本書には、次のようにストーリーが書かれています。
引退者用の高級施設、クーパーズ・チェイス。ここでは新たな開発を進めようとする経営者陣に住人達が反発していた。施設には、元警官の入居者が持ち込んだ捜査ファイルをもとに未解決事件の調査を趣味とする老人グループがあった。その名は<木曜殺人クラブ>。経歴負傷の謎めいたエリザベスを筆頭に一癖も二癖もあるメンバーたちは、施設の共同経営者の一人が何者かに殺されたのをきっかけに、事件の真相究明に乗り出すが―――新人離れした圧倒的完成度でイギリスで激賞を浴び、大ヒットとなった傑作謎解きミステリ。
木曜殺人クラブのメンバー、
エリザベス、ジョイス、ロン、イブラハムが、
事件を解決しようと捜査するのだが、
ゆるい雰囲気と、マイペースな感じが読んできて和んでしまう。
四人それぞれのキャラがあって面白い。
元看護師のジョイスは、お菓子作りが得意で、
いろんなお菓子を作っては、訪ねてくる人にすすめる。
このなおばあちゃん、いるなぉ・・・としみじみ思ってしまった。
本書の読みどころ。(*結末に若干触れています)
クラブの司令塔のエリザベス。
切れ者で、メンバーに指示を出したりして、
事件解決のためにいろいろとアプローチする。
その活躍ぶりも読みどころの一つ。
素人だけでは事件解決に近づけないと、
捜査担当者を巻きこもうと、
警察署に行ってひと芝居打ったり。
長い人生を経験しているだけに、
ちょっとやそっとなことではへこたれない。
出版社は、
謎ときや、フーダニットの部分を推しているようだが、
個人的には、その過程で明らかになる、
登場人物のそれぞれの人生にグッと来た。
救いがたいほどに人生に絶望した人。
人に言えない秘密をずっと背負ってきた人。
人生のたそがれ時。
それは余生を謳歌するだけではない。
これまでの人生・生き方を終わらせる、
大きな決断をする時でもある。
共通しているのは、愛する人と、
いつまでも一緒にいたいという思い。
こころから愛せる人に出会うこと。
それはなんとも羨ましいことだ。
そんな出会いがないままに死んでいく自分がわびしくなってしまった。
本書のマイナスポイント。
翻訳本にはいつものことだが、
登場人物の名前が覚えられないことがマイナスポイント。
もちろん、登場人物表があるので、
その都度戻って登場人物を確認するのだが・・・。
登場人物表に載ってない人もいたりして、
立ち止まることが何度かあった。
ストーリーや内容の部分で気になったのは・・・。
巡査のドナや主任警部のクリスの捜査当局側の印象が薄かったこと。
クリスが海外に捜査に行ったりするのは、
ちょっと余計な感じがしたし、
もう少し事件の捜査の核になってもいいような感じを受けた。
もう一つは、多視点の記述。
ジョイスの日記と三人称の文章で構成されているが、
読んでいて調子が出てきたと思ったら、
視点が変わって、ジョイスの日記になるので、
リズムを崩される感覚になった。
まとめ
巻末の解説にある通り、
イギリスのミステリーの伝統ともいえる、
老人が活躍ミステリー。
殺人は起きますが、
全体的に軽快で、ゆるい感じで、
読んでいて穏やかな気持ちになれるミステリーでした。
おそらく、続編も出るのでは・・・。
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