今回は本の紹介です。
読みたいと思っていた本で、
読んでとてもよかった本です。
何かと話題の「ポリコレ」についての一冊です。
『ポリコレの正体 「多様性尊重」「言葉狩り」の先にあるものは』
超絶オススメです。
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「ポリコレの正体」の感想。
アメリカを中心に吹き荒れるポリコレの嵐。
ここ数年のアメリカのポリコレの驚愕の実態を振り返りつつ、
ポリコレの原点と言える共産主義者まで遡っていて、
とても勉強になる。
対岸の火事だと安心していられない、
日本のポリコレの現状も分析していて、
自分自身の考えもある程度整理されてとても参考になった。
長年キャリアのあるノンフィクション作家だけに、
文章が読みやすく、論理展開も理路整然としていてわかりやすかった。
アメリカのここ数年の政治や社会情勢、
またポリコレの思想の基礎となった「フランクフルト学派」なる考えを、
サラッと、読みやすく完結にまとめてくれているのは、
著者の力量を感じさせた。
なんとなく知っていたポリコレ、アメリカの実態、日本のポリコレについて、
深く考えさせられ、
ポリコレの偽善と欺瞞を暴いている、名著だと思った。
著者、福田ますみさんについて
著者はフリーのノンフィクションライター。
本書の著者プロフィール欄によると、
「明治以降の日本近現代史、社会主義運動史、日本共産党史、ロシアン近現代史、とくにロシア革命について詳しい。多角的な取材に基づいたルポルタージュを得意とし、冤罪事件への関心も高い。・・・・」
話題となった以下のノンフィクションを執筆し、
『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』や、
『モンスターマザー 長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘い』で、
高い評価を受けている。
上記の2冊は、(不謹慎かもしれないが)本当に面白くて、
一気に読んでしまうこと間違いなしです。
細かい内容は書きませんが、タイトルだけでなんとなく想像がつくと思います。
読むと、驚愕の内容が書かれていて、しかも、これが実際に起こったことだと思うと、
ちょっと怖くなるような内容です。
未読の方は上記2冊ぜひ、ぜひ、読むことをオススメします。
上記2冊で著者のことを知っていたので、
ちょっと方向が違う本書がどういう内容なのか、
とても興味がありました。
読んでみるととても面白くて、勉強になる一冊でした。
著者のプロフィールからすると、
こちらの政治や思想の本のほうが、本来の著者の得意分野、専門分野のよう。
著者の得意分野だけあって、
ちょっと難しそうな思想について、わかりやすくサラッと書かれていて
思想の歴史について、簡潔にまとめてある。
また、平易な文章も読みやすかった。
本書の読みどころ。
個人的に面白かったと思う読みどころは、
まずアメリカのポリコレの源流が、
共産主義のひとつの思想や、
フランクフルト学派と言われる学者から来ていると解説している箇所。
ネットの情報で、ポリコレ運動の団体「BLM」が、
共産主義思想に根ざしていて、
ポリコレを通して一種の革命をやっている・・・というのは、
なんとなく知っていたが、
整理して、まとめてくれているので、すごく理解が深まり、
もやもやしていた疑問も晴れたように思う。
そして、日本のポリコレの現状もとてもおもしろかった。
実際にマスコミが熱心に報道した事件を取り上げて、
ポリコレと、それを報道するマスコミ、学者、知識人、作家などに
批判を加えている。
ここ1・2年のことなので、まだ記憶に残っていることもあり、
「そういうことだったのか」と、納得できる部分が多かった。
森喜朗元総理の「女性蔑視発言」の五輪組織委員会・会長辞任での、
マスコミの切り取り報道や、メディアリンチと言える執拗な報道、
森辞めろ」を煽った過剰で異常な反応。
杉田水脈論文への反発や、「新潮45廃刊事件」。
杉田論文を擁護した、小川榮太郎さんへの過激なバッシング。
一橋大学の学生のアウティング転落死事件のあらましと、
マスコミの偏った報道。
事件や騒動を振り返りつつ、
著者の考えやマスコミが伝えない当事者の本音や意見が書かれていて、
とてもおもしろかった。
LGBTと言われる性的少数者の活動家の運動が、
多くのLGBTの当事者の考えから乖離して、
反権力や、日本の伝統的な価値観を壊す左翼運動になっているという分析は、
とても納得できるものだった。
小川榮太郎さんの文章の内容も、
簡単に書かれていて、性の嗜好や生き方や生きづらさについて、
ものすごく参考になった。
「ポリコレの正体」 感想まとめ
ポリコレの運動は、全方位で、既成の価値観やあらゆる伝統を破壊する運動だと理解できた。
多様性が大事と言っていながら、自分達と反対の意見の人間には不寛容で、
徹底的に糾弾し、嫌がらせをする実態を見ると、この運動がいかに偽善的かがわかる。
自分の性の嗜好は、自分だけの私的なことで、
だれにも管理されたくない・・・という考えに膝を打って納得した。
性的少数者だから、自分たちは差別されていると、
国や権力に保護を求めているLGBTの社会活動家達。
それならば、本書でも触れているように、
ペドフィリア(小児性愛者)や、ネクロフィリア(死体性愛者)も、
保護し、街を練り歩かせなければ道理に合わなくなる。
ポリコレやLGBTについて、
深く考えさせられる名著だと思いました。
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