大正14年(1925年)完成の日本遺産、旧慶尚南道庁舎。東亜大学校博物館に行ってみた!

旧慶尚南道庁舎 韓国

前回に引き続いて、今回も日本遺産の建物の見学です。
臨時首都記念館のすぐ近く、
旧慶南道庁舎に行ってみた時の様子をお届けします。

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大正14年(1925年)完成の日本遺産、旧慶尚南道庁舎。 東亜大学校博物館に行ってみた!

 

 

 

旧慶尚南道庁舎・東亜大学校博物館の場所・開館時間

旧慶尚南道庁舎・東亜大学校博物館の最寄りの駅は、1号線の土城駅。
2番出口が一番便利です。
この時は、臨時首都記念館そ見学したあと、徒歩で向かいました。

 

開館時間  9:30 ~ 17:00(入場は16:30まで)
休館日  日曜・祝日・11月1日(開校記念日)
入館料  無    料

 

▼東亜大学校博物館

 

旧慶尚南道庁舎までの道

駅から続く道を歩いていくと、学校の敷地の塀に、
釜山の日本統治時代をはじめとする写真が展示してありました。
ここでも歩きながら、釜山の歴史をたどることができます。

 

▼交差点の角にあったモニュメント。

東亜大学校博物館

 

▼かつて慶尚南道庁舎の裏にあった、「武徳殿」だと思われる写真

東亜大学校博物館

 

▼かつての釜山でしょうか。

東亜大学校博物館

 

 

旧慶尚南道庁舎 外観

建物は大きい通りに面して建っていて、いかにも公共の建物といった雰囲気。
現在は学校の施設となっているので、敷地内は、
学生達がにぎやかに行き交っていました。
レンガ造りの建物は規則的な窓の配置と、
横に大きく伸びる直線で堂々とした威厳が感じられました。
窓の縁などところどころに装飾があり、それが独特の味をだしています。
当時のままを復元していると思いますが、
外観はかなりきれいに修復されている印象です。
レンガがきれいに積まれていました。

 

▼旧慶尚南道庁舎。

東亜大学校博物館

 

▼現在は学校の施設となり、学生が行き交います。

東亜大学校博物館

 

▼窓の周りを飾る装飾。

東亜大学校博物館

 

東亜大学校博物館

 

▼鬼瓦がありました。

東亜大学校博物館

 

▼煙突も残っています。

東亜大学校博物館

 

▼優美な曲線の車寄せ

東亜大学校博物館

 

▼入り口の狛犬(?)
これは当時の建物の写真には写ってないようなので、後から設置したのかもしれません。

東亜大学校博物館

 

▼狛犬(?)のほか、建物の前には石像が何体も置かれていました。

東亜大学校博物館

 

▼入り口から外を見て。

東亜大学校博物館

 

旧慶尚南道庁舎・東亜大学校博物館 内部

建物の内部は、出来た当時の姿はとどめていないようでした。
まぁ、用途に合わせてリフォームするのは当然といえば当然。
受付にいた係のおじさまに写真を撮っていいか尋ねると、
「撮っていいけど、フラッシュはたかないで・・・」とのことでした。
お言葉に甘えて、心置きなく写真を撮らせていただきました。
博物館の展示は主に2階にありました。

 

▼館内図

東亜大学校博物館

 

▼2階の窓

東亜大学校博物館

 

博物館というだけあって、貴重な美術品なんかがたくさん展示してありました。
今回は建物目的だったので、ざっくりと鑑賞しましたが、
時間をとってじっくり見たいと思えるものもありました。

▼「塼」(せん)という古代中国で発達した煉瓦。

東亜大学校博物館

東亜大学校博物館

 

▼様々な形の土器の展示もありました。

東亜大学校博物館

 

▼持ち手の鳥がかわいい。

東亜大学校博物館

 

▼楽器を奏でているところ?

東亜大学校博物館

 

▼仏教美術の展示もありました。

東亜大学校博物館

 

▼個人的に一番印象にのこった古代のお棺。

東亜大学校博物館

 

▼一部、オリジナルと思われる煉瓦を残してくれていました。
ちょっとうれしかったです。

東亜大学校博物館

 

3階で日本統治時代にタイムスリップ

2階の展示を一通り見終わって、
3階もあるようなので階段を上っていくとうれしいサプライズがありました。
3階には、旧慶尚南道庁舎に関する展示がたくさんありました。

 

▼かつての慶尚南道庁舎。

東亜大学校博物館

▼修復された旧慶尚南道庁舎。

東亜大学校博物館

展示されている写真や模型にはハングルの他、英語と日本語のキャプションが付けられていました。
日本統治時代の公官庁の建物についてこいうふうに書かれていました。

日本統治期に建てられた官庁建築の特徴は都市の主な道路や目立つ場所に建てられ、
都市のシンボルとなった点にある。
特に建物の外観は18世紀西洋で流行した歴史的様式が主に使われ、
厳密な左右対称や権威的な外観を持っているのが一般的である。

 

▼日本語でのキャプションもあって、助かりました。

東亜大学校博物館

慶尚南道庁舎の特徴も完結に書かれていました。

旧慶尚南道庁舎の様式は
日本統治期の典型的官庁建築の形式の一つである。
正面には車寄せのポーチがあり、
中心部には装飾を持つ塔(中には部屋がある)が左右対称性を強調する。
特に’一’文字型建物の単純なプロポーションを防ぐため
垂直性を強調する窓を設け建物の安定感を与える。

 

また、慶尚南道庁舎の建設当時の逸話も書かれていました。

旧慶尚南道庁舎は機能が変わる度に形態や空間の変化もあった。
1923年当初病院からのスタートであったが工事は、
工事途中で慶尚南道庁舎に使用目的を変更、
前面は2階、両端部は1階建て、1925年には竣工を向えることになった。
1931年には1階建てであった両端部を2階に増築し、
1930年代後半には右端部を水平方面にも増築を行った。
同時期に後部にあった講堂部分も立て直すことになったと思われる。
1941年全体的な増築工事が行われ平面はロ字型になった。
戦後、幾度か増築工事が行われてきたが、
2002年東亜大学校の博物館としての使用が決定、
一部の建物を撤去しながら構造補強や内部の工事を行った。

 

計画当初は病院として建てていたとか、
増築して「ロ」の字型になったとか、
興味深いエピソードに興奮してしまいました。

 

▼改築ごとに変化する、旧慶尚南道庁舎の模型。

旧慶尚南道庁舎

 

さらには、修復時に梁に保管されていたものや、
朝鮮総督府に保管されていた慶尚南道庁舎に関する書類も展示してありました。

 

▼梁から見つかった増築時の上棟式の署名板。
「昭和十五年」のとあります。

旧慶尚南道庁舎

▼慶尚南道庁舎に関する書類(コピー)

旧慶尚南道庁舎

キャプションには次のようにありました。

旧慶尚南道庁舎の屋根トラスの木材から庁舎建立の当時の木材を現場に補給した会社の名前
(釜山六二商会、安東無限工事)が見つかった。
又、展示物は朝鮮総督府の記録物である。
そこには旧慶尚南道庁舎に関する増築図面や工事費、工事内容が書かれている。
慶尚南道庁舎の移転書類には庁舎移転に関する方法などが詳しく残されており、
庁舎の設備に関する内容や
職員住宅・移転費用・移転時期・移転後の措置などが記されている。
又、建立する釜山府立病院に関する細かい内容まで書かれている。

 

どのように修復されたかについても書かれていました。

旧慶尚南道庁舎が持つ足跡を発見し、
それらを残すため建物外観の復元、煉瓦積みの補修及び補強を行う。
尚且つ失われた空間などの復元する作業も伴った。

 

3階の両端のスペースには、さらに嬉しいサプライズがありました。
かつてあった武徳殿の一部が保存されていました。
ひっそりとした、誰もいない3階で一人、感動していました。

 

▼武徳殿の一部を展示

東亜大学校博物館

▼旧慶尚南道庁舎で使われていた煉瓦

東亜大学校博物館

 

▼碍子も当時のものでしょうか。

東亜大学校博物館

 

▼「武徳」の文字がある瓦

東亜大学校博物館

 

東亜大学校博物館

武徳殿とは、剣道をはじめとする武道で使われた道場のことです。
明治時代に設立された武道の振興と普及を目的とした団体、大日本武徳会の道場で、
日本統治時代の朝鮮や台湾にも武徳殿が建てられ武道の普及を行いました。
最初の武徳殿が平安神宮に併設されたことから、
外地でも神社に併設されることがあったようです。

 

 

東亜大学校博物館

 

東亜大学校博物館

東亜大学校博物館

 

武徳殿のキャプションにはこう書かれていました。

武徳殿は日本統治期であった1926年に建てられ講堂のようにも使えたが、
1951年朝鮮戦争時には臨時国会議事堂として使用された。

 

旧慶尚南道庁舎

 

旧慶尚南道庁舎・東亜大学校博物館 まとめ

旧慶尚南道庁舎、訪問するまでは、外観だけでも十分だと思っていましたが、
3階には建物に関する展示が結構あって感激しました。
しかもかつてあった武徳殿の一部も保存されていました。
日本語のキャプションも建物や当時の日本の政策に対する敬意が感じられました。
建物を保存していただいた東亜大学校に、ただただ感謝です。
大変満足できる日本遺産の訪問でした。

 

▼見学後、1階の休憩スペースでしばし休憩。

東亜大学校博物館

 

▼外に出て改めて建物のまわりを見学します。

東亜大学校博物館

 

▼古代の遺跡でしょうか、石灯籠のようなもの。
東亜大学校博物館

 

東亜大学校博物館

▼残してくれた東亜大学校に感謝。

東亜大学校博物館

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