「禁煙ファシズム 横浜副流煙事件の記録」黒薮哲哉 著。

禁煙ファシズム 本の紹介
どん
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今回は本の紹介です。

「禁煙ファシズム」を紹介します。

禁煙(喫煙)トラブルについてのノンフィクション。

日本の禁煙運動の実態にただただ驚きました。

 

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「禁煙ファシズム」イントロダクション

 

その一服、4,500万円!
ーーーある日、突然法廷に
日常生活の中に潜む隣人トラブル

 

本書の帯には、上記のように書かれています。
単純にこの惹句だけで読みたくなりました。
帯にはさらに詳しいことが書かれています。

 

ミュージシャンが自宅マンションの音楽室で
煙草を吸っていると訴状が届いた。

4500万円の損害賠償と自宅での喫煙禁止。

同じマンションの上階に住む家族が、
副流煙で病気になったとして裁判を起こしたのだ。
著名な医師や研究者が次々と原告家族に加勢したが、
偽造診断書が発覚して事件は思わぬ方向へ・・・・。

 

 

 

読み終わった率直な感想


医師や弁護士という、
極めて専門的な職業に就いている人が、
自分達の主張を正当化するために、
違法なことやいい加減なことを、平気でやっている・・・ということに愕然とする。

 

詳しい内容はぜひ読んでいただくとして、
こんな根拠に乏しい損害賠償の裁判が、
(言いがかりのような主張の裁判を、医師や弁護士がサポートしている)
普通に行われてたということにも驚く。

 

そして、訴えられたミュージシャンの奥さんが、
こんな間違ったことがあってはいけないと、
ひるまずに裁判を闘う姿には頭が下がる
感動すらしてしまった。
(自分なら、訴えられた時点で意気消沈する)

 

著者・黒薮哲哉さんについて。

本書の著者略歴欄には下記のようにある。

ジャーナリスト。1958年兵庫県生まれ。1992年、「説教ゲーム」(改題:「バイクに乗ったコロンブス」)でノンフィクション朝日ジャーナル大賞「旅・異文化」テーマ賞を受賞。1998年、「ある新聞奨学生の死」で週刊金曜日ルポルタージュ大賞「報告文学賞」を受賞。ウェブサイト「メディア黒書」主宰者。

著書に、『「押し紙」という新聞のタブー」(宝島新書)、「あぶない!あなたのそばの携帯基地局」(花伝社)「新聞の聞きと偽装部数」(花伝社)、「ルポ 電磁波に苦しむ人々」(花伝社)、「名医の追放―――滋賀医科大病院事件の記録」(緑風出版)など多数。

 

著書を見ると、特定(結構地味な)のテーマについて、追い続けているような印象を受ける。押し紙の報道では、新聞社から訴えられたこともあるとのこと。仕事を通して、いろいろと体験しているらしく、何かと裁判には詳しいらしい。

 

著者の本は、今回初めて読んだ。

訴えられたミュージシャンの藤井さんと、その奥さんに同情しつつ、
本書は、冷静な文章で裁判の成り行きを綴っている。
原告家族の主張のおかしい点や、裁判に提出された書類の矛盾点を、
淡々とわかりやすく記している。

著者は訴えられた側について支援しているが、
文章はある程度距離を保ちつつ書かれているのは好感が持てる

 

藤井敦子さんのひるまぬ勇敢な姿。

ある日突然、隣人から訴えられたら・・・。
自分なら、もうこの世の終りというくらいになって、
立ち直れないと思う。

 

本書に登場する訴えられた藤井さんの奥さん、
敦子さんの姿には本当に感動する。

こんないい加減な裁判に負けたら、世の中が大変になる・・・
とばかりに危機感を持って、
裁判に勝つためにあらゆる手段を試している。

その一つが、マスコミを味方につけること。
それが、著者が事件を取り上げることにつながる。

 

裁判や法律については、
やはり専門家の弁護士に頼ることになる。
紆余曲折を経て、担当してくれることになった弁護士を、
敦子さんは解任している。

それは、原告の主張する「受動喫煙症」や「化学物質過敏症」
という病気そのもの真偽と、
その原因が副流煙だとすることを争点にしたい敦子さんに、
担当弁護士の裁判戦略が違ったことによる。

 

担当弁護士は、
自宅での喫煙は自由だと主張して、訴えを棄却させることを戦略としていた。
その戦略に不安を感じた敦子さんは、
弁護士を解任して、本人が裁判書類を作成して主張を展開する。

 

弁護士を解任するその決断だけでも、
敦子さんの勇敢さを実感するが、
その後、敦子さんは反撃に出る

詳しくはぜひ本書を読んでいただきたい。

 

集合住宅の恐ろしい部分

訴えられた藤井さんの部屋は1階。
原告の家族の部屋は2階。

 

てっきり上下の部屋の位置関係かと思ったが、
実際は斜め上。
本書には位置関係が一目瞭然の写真が載っている。
直線距離で、8メートル以上も離れている。

 

その位置関係だけでも、
原告の主張に無理があるのではないかと、
普通の人なら思ってしまう。

 

言ってみれば、
藤井さんの家族が狙い撃ちされたとも思える。
本書ではその辺は書かれていないが、
この問題以前から、
隣人トラブルというか、軋轢があったそうだ。

 

騒音トラブルとか、
アパート・マンションではよくあること。
隣人は選べないだけに、
隣人がモンスターだった場合、
大きな被害を受けるかもしれないと、
改めて実感してしまった。

 

医師・弁護士・警察

本書に登場するそれぞれの分野の専門家、
医師・弁護士・警察についてもいろいろ考えさせられた。

「受動喫煙症」「化学物質過敏症」の裏付けの診断書を書いた医師。
その病気自体が未確定の部分の多い病名である。

その診断書の文章もツッコミどころ満載の診断書だった。
著者は診断書の文章を分析して、淡々とツッコミを入れている。


一番問題なのは、
医師は一度も原告家族の娘を診察することなく、
診断書を作成していたことが明らかになる。


この行為は、医師法20条に違反する行為だそうだ。

 

裁判でこの診断書の疑惑を追及された医師は、
その診断書について、いろいろと言い訳する。
その辺の苦しい言い訳を読んでいると、
本当に腹がたって仕方がなかった
この診断書が4500万円という高額の損害賠償の根拠になったのだから。

 

相手方の弁護士、中立な立場であるはずの警察についても、
不信感を抱いてしまった。

 

「禁煙ファシズム」まとめ

自分自身は、無煙家で、たばこはほとんど吸ったことがないので、
禁煙が進むのは大賛成・・・なのだが
禁煙の運動がこんな状況になっているのか、愕然としてしまった。

弱者救済を掲げれば、ルールを捻じ曲げてもいい、
というような政治勢力が跋扈していることに本当に驚く。

 

 

▼「横浜副流煙裁判」を詳しく動画で解説しています。

 

 

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